なるほど豆知識vol.44「空を眺めてみよう!」

なるほど豆知識

2016.11 vol.44 空を眺めてみよう!

 

みなさんは、空をじっくり眺めることはありますか?季節や気候によって全く違う表情をする「空」。
寒くなってきたこの時期、ふと見上げると澄んだ空が広がっています。
今回は「秋の空」についてご紹介します。

 

mame_vol44_img01雲のできる仕組みmame_vol44_img01

雲は、水蒸気を含む空気が上昇し、冷やされることによってできます
大気中では情報ほど気圧が低くなるため、上昇気流や風の影響で空気が上昇し、膨張します。膨張することで温度が下がり、空気中のチリやホコリに水蒸気が付着し、次第に大きくなって水の粒となり、雲ができます。
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mame_vol44_img01雲の種類mame_vol44_img01

雲は、世界で統一された雲の種類を分ける基準が1895年国際気象学会でつくられました。これは、「雲の高さ」「形」によって10種類に分けられています。

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 上層雲(高度5000m以上)
巻雲(けんうん)
春と秋空によく現れ、一般に「すじ雲」と呼ばれ、その名のとおり繊維状です。風が強い日にきれいな形を描いています。通常一番高いところに現れる雲です。
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巻積雲(けんせきうん)
白い小さな粒状の雲塊が蜂の巣状に規則的に並んでいる
雲です。ウロコのように細かく「イワシ雲」「まだら雲」とも呼ばれます。
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巻層雲(けんそううん)
空を広く覆う白いベール状の雲で、数時間後に雨を降らせたりします。
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 中層雲
高積雲(こうせきうん)
 高度3000~7000mにできる大きな丸い雲。「ヒツジ雲」「むら雲」とも呼ばれ、巻積雲と同じようにウロコ状に見えます。
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高層雲(こうそううん)
 太陽や月の形をぼやかす灰色の雲。「おぼろ雲」とも呼ばれ、すぐに雨を降らせます。
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乱層雲(らんそううん)
暗い灰色の雲で、「雨雲」と呼ばれています。弱い雨や雪を長く降らせたりします。
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下層雲
層積雲(そうせきうん)
 空の低いところにできる雲。暗色の雲が、大きな固まりか長いうねになって横に広がっています。
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層雲(そううん)
 霧のような雲で、山の中腹など、主に低い場所にできます。
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積雲(せきうん)
 モクモクと盛り上がった雲で、積雲が大きくなると積乱雲(入道雲)になります。夏の晴れた日によく見られます。
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積乱雲(せきらんうん)
 「入道雲」とも呼ばれ、主に低い場所で発生しますが、高さが10㎞を超えることもあり、集中豪雨やたくさんの雪を
降らせ、雷を起こします。
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mame_vol44_img01秋によく見られる雲mame_vol44_img01
 秋は上記の雲の種類の中でも「巻雲」「巻積雲」「高積雲」などの、最も高い「上層雲」に属する雲が多く見られます。気象条件の変化が大きく関係します。夏から秋にかけて水蒸気量が少なく上昇気流が弱なり、空の透明度が増すことで、上空高くに存在する雲の姿を捉えやすくなるためでもあります。
 一番上層に位置する「巻雲」は上空5~13㎞付近に現れる雲ですが、この上に雲は存在しません。秋には、いろんな気象条件が重なると、この一番高い位置に存在する雲が見える機会が多くなるのです。
 「ウロコ雲」とも呼ばれる巻積雲は、台風や移動性低気圧の関係で特に多く見られ、
秋の象徴的な雲だとされているのです。

 

mame_vol44_img01秋の空が高く感じる理由mame_vol44_img01
空気が澄んでいる mame_vol44_img14
 空気中のチリやホコリ・水蒸気が多ければ多いほど、空は白っぽく見えます。逆に空気が乾燥して水蒸気が少なければ、キレイで澄んだ青い空になります
 秋になると、大陸から移動してくる高気圧に覆われます。大陸からの高気圧は、空気中に含んでいる水蒸気の量が少ないため、乾いた空気に覆われ、視界が良くなり、空の青さが濃く澄んで見えるようになるため、空が青く高く見えるのです。

 

大気が安定している
 春も大陸からの高気圧に覆われますが、春は雪や氷が融けたばかりで、土や砂が舞い上がりやすくなっています。春によく聞く「黄砂」もこの影響によるものです。
一方、秋は夏の間に草木が生い茂るのでホコリが立ちにくくなります。さらに陽射しが弱まり、暖められた空気が上昇する現象が起こりにくく、地面近くにある汚れた空気の層が空の低いところに留まる傾向にあります。
 風が強いとチリやホコリが舞って空の青さもくすんで見えます。ですが、秋は1年で最も風が穏やかな季節で大気も安定しているため、春よりも秋のほうが、空が澄み渡り、高く見えるのです。

 

mame_vol44_img01女心と秋の空mame_vol44_img01

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 「女心と秋の空」は、変わりやすい秋の空模様のように、女性の気持ちは移り気だという意味で用いられますが、本来は「男心と秋の空」が原形で、このことわざは江戸時代にできました。その時代、既婚女性の浮気は命を落とすほどの重罪でしたが、既婚男性の浮気には寛大だったこともあり、男性の変わりやすい心を例えて、女性に対する愛情が変わりやすいとして言われ、使われていたのです。ですが、現在では「女心と秋の空」のほうがよく聞かれるような気がしますが、実際には、広辞苑などでは「男心と秋の空」の紹介が多く、「女心と秋の空」が紹介されるようになったのは、1998年頃からで、辞書によっては「女心と秋の空」は紹介されていないものもあるようです。時代とともに女性の地位向上も実現し、恋愛の価値観も変化、多様化しています。