なるほど豆知識vol.62「アリの世界」

なるほど豆知識

2019.7 vol.62 「アリ」の世界

          アリの社会
        

 アリは「コロニー」と呼ばれる女王を中心とした家族の集団で生活しています。その最大の特徴は“分業”と呼ばれる仕事の分担です。それぞれのアリは大きさや種類によって、巣の中での仕事を分担して行っています。

 

女王アリ
“女王アリ”と聞くと、王様のように支配しているようなイメージを受けてしまいますが、実際の女王アリの仕事は、ただひたすら卵を産むことです。一見地味に感じるこの仕事、実はアリの生活の中では「仲間を増やす」という一番大切な役割を担っています。どんなに大きくて強い巣も、女王が死んでしまったら、仲間を増やすことができなくなり、崩壊してしまいます。そのため、女王アリは巣の奥の一番安全な場所で、多くの働きアリに大切に守られて生活しています。

 

働きアリ
 巣の労働のほとんどを受け持つ労働のプロフェッショナルです。餌集めや幼虫の世話、巣内の清掃、巣の防衛など様々な仕事をこなします。仕事は分担して行われ、どのような仕事を受け持つかは、働きアリの大きさや年齢によって、おおまかに決まっています。

 

 

          アリの種類
        

 アリの種類は世界で1万種、日本で280万種以上存在します。

アルゼンチンアリ  ●体長:約2.5㎜ ●色:黒褐色
<特徴>

 ・攻撃性が強く、他種のアリの巣を見つけるとこれを襲い、まるごとエサにする。アリだけでなく、ハチの巣や天敵であるはずの鳥の巣まで襲う場合がある。
 ・多女王性であり、一つの巣に複数の女王アリがいる。そのため、大規模なコロニーをつくる。女王アリは働きアリと同様、エサの探索に加わり、徘徊する。

アメイロアリ  ●体長:約2~2.5㎜

 ●色:頭部と腹部は黒褐色、胸部と脚は黄色~黄褐色

<特徴>

 ・石下や落葉層、倒木内などに営巣する。コロニー規模は大きくならず、500匹構成で一定する。

 ・秋に生まれた羽アリが巣中で冬を越し、翌年の5~6月に巣から飛び出す。

クロオオアリ  ●体長:約7~12㎜

 ●色:全身が光沢のない黒灰色、腹部の筋は黒光りする

<特徴>

 ・開けた場所の乾燥した地面に好んで営巣するので、畑や林道などのほか、住宅地や公園など都市部にも生息する。

アミメアリ  ●体長:約2.5㎜

 ●色:頭部と胸部、腹柄筋は茶褐色、腹部は黒褐色

<特徴>

 ・女王アリをもたず、働きアリだけで産卵し繁殖する。

 ・定住する巣を作らず、石下や倒木に野営の巣をつくり、頻繁に移住しつつ生活する

 

       アリのコミュニケーション
        

 アリはきめ細かな連携体制の下に成り立つ、集団戦法を得意とします。働きアリは巣が攻撃された時、大きな獲物を見つけた時など、仲間にそれをいち早く知らせて対応します。その情報の伝え方は、アリの種類によって様々です。

△ 緊急事態のとき △
 体を小刻みに打ち
付けて振動を出す
 フェロモンと呼ばれる
特殊な匂いを出す
 大慌てで走り回り、
危険を知らせる

 このような動作をしながら、あっという間に仲間を呼び集めて迎撃態勢を整えます。防衛部隊と攻撃部隊が編制され、防衛部隊は外敵が侵入して来ないように巣の入口でスクラムを組んでがっちりと防衛ラインを固め、攻撃部隊はその間をぬって次々と巣外に飛び出していき、敵と戦います。

 さらに、アリの危機管理は徹底されていて、女王や幼虫など重要な防衛対象をより安全な巣の奥の方へと避難することまで行われます。

〇 エサを見つけたとき 〇
 直接ひっぱって連れて行く  道しるべフェロモンと呼ばれる匂いをエサ場までの道につける
口移しでエサをあげて、エサの存在を教える 
 このようにしてエサがあることを知らせた働きアリは、他の仲間にもその情報を伝えながら、エサ採りに出かけていきます。そして、帰りがけにも仲間に教えてあげる…。このようなことが繰り返され、アリの行列が出来上がります。  

 

           アリの食事
        

 アリの食性は基本肉食ですが、種類によって草食、菌類、雑食が分化しています。生きた動物を襲う種類から、自ら栽培した菌類を主食にする種類まで、多種多様な食性が知られていますが、エネルギー源として植物の蜜やアブラムシの甘露、タンパク質源として肉食とする種が多いです。肉食の種では、特に土壌性の小型種で、トビムシ・ムカデ、ササラダニなど、ほぼ特定の生物のみを襲って獲物にしている種が多く知られています。

 

 

 

 

アース製薬 株式会社:アリを知る|害虫を知る|アース害虫駆除なんでも事典
株式会社 ピコイ  :日本で見られる黒アリの種類について
危険生物.information , Wikipedia                より