なるほど豆知識
2015.2 vol.23 素敵な桃の節句を迎えよう!
ひな祭りを華やかに彩ってくれるひな人形。でも、そこに込められている意味を
知らない人も多いのではないでしょうか。今回はひな祭りをより楽しむための、
ひな人形の意味と飾り方などをご紹介していきます。
ひな人形はいつ飾り、いつしまう?
ひな祭りは春の訪れを祝う意味もあるので、立春(暦の上で春が始まる日。2月4日
ごろ)を過ぎたころに飾りはじめ、ひな祭りがすんだ翌日には片付けるのが良いと
されています。遅くとも春分(春の折り返し地点。3月21日ごろ)までにはしまう
ほうがベター。よく「早くしまわないと、お嫁に行きおくれる」という迷信がささや
かれますが、その裏にはさまざまな意味があります。
●理由1●厄払いをして不幸を遠ざけるため
ひな人形には、わが子の厄や災いを引き受ける役目があるので、いつまでも身近に 置いておくと幸せな結婚もできないと考え、早く片付けて災いを遠ざけたほうが いいとされました。 |
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●理由3● 早く幸せになってほしいから
婚礼の様子を模したひな人形は、娘の結婚になぞらえることができます。早く 飾り出すと「早く嫁に出す」、早くしまうほど「早く片付く(嫁に行く)」と とらえ、早くおひなさまのような幸せな結婚ができるよう願いました。 |
このような意を汲んで早めに片付けるようになりましたが、時間がないときや湿気が
多い雨の日は、片付けには向きません。そんなときは、ひとまず内裏びなを後ろ向きに
飾り、「御帰りになった」「眠っていらっしゃる」と解釈します。
ひな人形の処分の仕方は?
人形をごみとして捨ててしまうのは
かわいそうです。何かの事情で人形を 保存できなくなった場合は、 全国各地の社寺で行っている人形供養 (人形感謝祭)に持参し、若干の 供養料を添えて納めるのがよいでしょう。 |
母から子へ引き継いでもいい?
おひなさまには、それぞれの子供の厄を引き受け、幸せを祈るという意味が
あるので、本来は別々に揃えたほうが良いとされています。代々受け継ぐ場合でも、
お子様のためのひな人形か、何か形代となる人形を一緒に飾ることが多いようです。
また、次女や三女が生まれたときも同様ですが、この家の女性たちを守ってくれると
考えて、姉妹でひとつのひな人形にする家もあります。
ひな人形の登場人物とは?
ひな人形は宮中の婚礼の様子を表しています。それぞれの人形には役職があり、
よくよく眺めてみると、表情や持ち物もさまざま。ここでは一般的な登場人物を
紹介します。
最上段 | 内裏雛(だいりびな) |
内裏(だいり)とは天皇の住まいである御所のことで、内裏びなは天皇、
皇后の姿をあらわした男びなと女びなです。日本古来の並べ方は、 左上位(南に向いたときに日の出の方角=左を上座とする)の考え方により 向かって右に男びな、左に女びな(人形側から見ると、左上位で左に男びな) でした。しかし、昭和天皇が国際マナーにのっとり右上位に並ぶように なってからは、向かって左に男びな、右に女びなを並べるようになりました。 今でも伝統を重んじる京都などでは、日本古来の並べ方です。 |
二段目 | 三人官女(さんにんかんじょ) |
内裏に使える女官たち。中央の女官長はお酒を飲む盃を三方にのせて持ち
(上方では松竹梅の飾りのついた「嶋台」)、結婚しているので 眉毛がありません(昔は結婚すると眉毛をそりました)。向かって左の 女官は、お酒の入った「加えの銚子」を持ち、口を開いています。 向かって右の女官は、お酒を注ぐ「長柄の銚子」を持ち、口は閉じています。 |
三段目 | 五人囃子(ごにんばやし) |
お囃子の演奏をする人たち。向かって左から太鼓(たいこ)、 大鼓(おおかわ)、小鼓(こつづみ)、笛(ふえ)、謡(うたい)。 それぞれの表情も違います。 |
四段目 | 随身(ずいしん) |
お内裏様を警護する人たち。向かって左の若者が右大臣、 右の髭をはやした老人が左大臣で、弓矢を持っています。 |
五段目 | 仕丁(しちょう) |
宮中で雑用をする人たち。怒りじょうご、泣きじょうご、 笑いじょうごの3人なので、三人上戸(さんにんじょうご)ともいい、 台笠(だいがさ。帽子をかけます)、沓台(くつだい。靴をのせます)、 立笠(たちがさ)を持ち、出掛けるときの様子をあらわしています。 ほうき、ちりとり、熊手を持っている場合は、宮中を掃除する様子を あらわしています。 |
ひな人形を上手に飾ろう!
Point①段飾りの場合、緋毛せんは下段から敷いて
段飾りでは、「緋毛せん」という赤い布を敷きますが、 |
Point② 飾る順番は中心に置くものから 配置していくと全体のバランスがよくなる 段飾りのひな人形で、全部飾り終えた後に「なんとなく バランスが悪い」といったことにはなりたくないもの。 まずは中心の位置を決め、その両隣へ順に等間隔で置いて いけば、全体のバランスが自然とよくなります。 なお、重箱、タンスなどの「嫁入り道具」類の配置に、 特別な決まりはありません。 |
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