なるほど豆知識
2015.4 vol.25 お花見をもっと楽しく過ごそう!
春の陽気も感じられ、桜前線もどんどん北上していますね!みなさんは「お花見」を
どのようにお過ごしでしょうか。待ちに待ったこの季節、素敵な春を満喫しましょう♪
意外と知らない「お花見」の由来
ここでいきなりクエスチョン | |
この時季は桜だけでなく、桃や菜の花などいろいろな花が咲き誇り、見どころがたくさんあります。
しかし、「お花見」といえば「桜」をさすのはどうしてでしょう? |
平安時代より花の代名詞になっているから
※ちなみに、奈良時代は花といえば「梅」や「萩」をさしていました。 |
平安の貴族たちは桜の花に心をおどらせ、 桜を愛でては歌を詠み、宴を開いて楽しみ ました。また、農民にとって「お花見」は 豊作祈願の行事でした。 古来より、田の神様は冬になると山へ行き、 春になると里へおりると考えられていました。 「さくら」の「さ」は早苗、早乙女、皐月 |
などと同じように稲や田の神様をさし、「くら」は神様の座る場所という意味で、
春になっておりてきた田の神様が宿る木とされていたため、桜のもとで田の神様を
迎えてもてなし、桜の咲き方でその年の収穫を占ったり、桜の開花期に種もみを
まく準備をしたりしていました。
やがて、江戸時代になると、春の行楽としてお花見が
庶民の間にも広がり、酒を酌み交わすお花見になって いきました。三代将軍家光が上野に桜を植え、 八代将軍吉宗が隅田河畔や飛鳥山を桜の名所にし、 お花見の場も増えました。園芸が盛んなこの時代に 品種改良が進んだことで、身近な場所でお花見が 楽しめるようになったのです。 |
「桜」の種類
桜は約10種類の原種をもとに、それらの交配種で100種類以上が野生化し(この
ような野生種、自生種を「山桜」といいます) さらに人の手で栽培されたものが
300種類以上もあります(このような栽培品種、園芸品種を「里桜」いいます)。
また、「八重桜」は里桜の八重咲きの品種の総称です。
*大島桜(オオシマザクラ)* 花と葉が同時に開く。伊豆地方に自生しており、花が大きく 香りも良い。丈夫で成長が早いので染井吉野など多くの 里桜の母種になっている。桜もちを包む葉は、大島桜の葉を 塩漬けにしたもの。 |
|
*江戸彼岸桜(エドヒガンザクラ)* 花が咲いた後、葉が出る。お彼岸のころに開花するので その名がつき、枝が長く垂れる「枝垂れ桜」は江戸彼岸桜 の園芸品種。とても丈夫で長寿なので各地に巨木や 名木があり、日本三大桜も江戸彼岸桜の系統。 右の写真は、福島県田村郡三春町にある、樹齢1000年を 超える「三春 滝桜(みはる たきざくら)」です。 |
|
*豆桜(マメザクラ)* 花が咲いた後、葉が出る。花が小さく、挿し木でも育つので 盆栽としても人気。 |
|
*緋寒桜(ヒカンザクラ)* 花が咲いた後、葉が出る。早春の寒い頃から開花し、 濃いピンク色をしている。釣鐘のように垂れ下がって咲き、 花びらがくっついたまま落下する。彼岸桜(ヒガンザクラ) と間違えやすいため、寒緋桜(カンヒザクラ)と呼ばれる ことも多い。 |
染井吉野(ソメイヨシノ)を知ろう!
江戸時代末期に、染井村(現在の豊島区駒込)の植木屋が、大島桜と江戸彼岸桜を
交配して作り出したもので、当初は桜で名高い奈良県吉野にあやかり「吉野桜」と
いう名でしたが、吉野山の山桜と間違えやすいため「染井吉野」と改名されました。
この新品種が国民的人気を得たのは、大島桜の華やかさを、花が咲いた後に葉が
出てくる江戸彼岸桜の特徴が引き立ててくれたためで、父母の利点を上手く受け継ぐ
逸品だったのです。
江戸彼岸桜 大島桜
染井吉野 |
さらに、十年ほどで立派な木に成長するため、明治時代に全国の学校、公園、沿道、
河川沿いなどに次々と植えられ、主流となっていきました。 現在、日本の桜のおよそ
8割は染井吉野で、最もポピュラーな桜でしょう。
ただし、染井吉野は観賞用として交配したため、
自力で繁殖することができません。全国にある 染井吉野は、一本の原木から接ぎ木や挿し木で 増やした、いわば“クローン”。そのため同じ 条件のもとで一斉に咲きだし、お花見や観測に 適しているわけですが、近い将来寿命を迎えて しまうので、その対応が課題になっています。 |
花あかりに誘われて…さりげなく桜ことば!
平安の昔より「花」と詠まれれば「桜」を意味するほど特別な存在だったように、
日本語には桜にまつわる美しい言葉があります。題して「桜ことば」!
ビニールシートも雅な空間
花が咲く頃を花時(はなどき)と言いますが、
特に桜が咲く頃をさし、人々は花時になると 桜狩(さくらがり)に出かけて和歌を詠んだり していました。この桜狩が行楽としてくだけた表現に なったものが花見でして、桜の下に花筵(はなむしろ) を敷き、食事をしながら桜を見物する今のスタイルに なったそうです。 |
(例文)「わぁ、ちょうど見頃!花見に来た甲斐があったじゃない。
さっそく、ビニールシートでも敷きましょう」
↓
「まぁ、花時を迎えて桜狩に来た甲斐があったわね。では、花筏を敷きしょう」
花びらを風流に見立てて
満開の桜は花盛り 、満開になって散る桜を零れ桜(こぼれざくら)、
花びらが舞い散るさまは桜吹雪、水面に散った花びらが吹き寄せられて流れていく
様子を花筏(はないかだ)と言います。なるほど、筏流しに似ていますよね。
また、水面に散った花びらが敷き詰められた様子を浮き橋に見立てて花の浮き橋と
表現します。それから、水辺の桜が水面に映る様子を桜影といい、
桜の木の陰を表す桜陰と分けて使います。
(例文)「まさに満開!風で花びらが舞って綺麗ね。あっ、花びらが流れていく…
見て!川面に花びらがいっぱいよ」
↓
「まさに花盛り!桜吹雪も綺麗ね。あっ、花筏…見て!花の浮き橋よ」
お花見がもっと楽しくなる桜の基礎知識[暮らしの歳時記]All About
花あかりに誘われて…さりげなく桜ことば[暮らしの歳時記]All About より