なるほど豆知識
2020.9 vol.76 秋夜に虫の声を楽しもう!
虫の声と日本文化
古来より日本人は、コオロギの声で秋を感じ、ホタルの光に郷愁をおぼえ、セミの鳴き声を種類別に聞き分けてきました。しかし、こうした感性は世界的にはとても珍しく、誇るべき日本人の感性です。
また、スズムシの「リーンリーン」やマツムシの「チンチロリン」など虫の声を文字で表記する国も他には見られません。とくに、欧米人は虫の鳴き声を雑音としてとらえ、虫の声を認識しても季節を感じることはないようです。
さらに、昆虫に関して日本ほど細かく分類していないこともあり、秋に虫が鳴いてもそれがどの虫であるのか意識しません。
虫の声と能の仕組み
虫の声の認識には脳のメカニズムも関係しています。人間の脳は一般的に、左脳が言語をつかさどり、右脳が言語以外の処理を行っていると言われています。
日本語では母音が比較的重要で、虫の声をはじめ自然の音を言葉のように左脳でとらえます。一方、子音が重要な欧米言語では、これらの音は音楽や雑音と同じように右脳で認識されます。
よって、音に言葉のような意味をもたせ、そこから想像を広げていく文化は、人種的な違いではなく、話し言葉の差から生まれたようです。
どうして秋に鳴くの?
秋に鳴くのは卵の状態で越冬した虫たちで、羽化して3~4日すると鳴き始めます。鳴くと言っても声帯があるわけではなく、体を動かしながら2枚の翅(はね)をこすり合わせることで音が出る仕組みになっています。
秋の虫たち
浜松市エネフィーブログ:秋に鳴く虫と風流に感じる?愛でるのは日本人だけ?秋の夜長に虫の音を楽しもう!
公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会:虫を聞く文化
ヤフー株式会社:Yahoo!きっず図鑑
生き物情報ナビ:マツムシについて解説!飼育法は?餌や寿命、鳴き声? より