なるほど豆知識
2015.9 vol.30 箸の歴史を知ろう!
![]() |
食べ物がおいしい季節が、またやってきました。食事の時に必ずと
言っていいほどお世話になる「箸(はし)」。小さい頃、持ち方に 苦戦した方も多いのではないでしょうか。みなさんは、そんな「箸」 について深く考えたことはありますか? 今回は、意外と知らない「箸」についてご紹介していきます。 |
![]() ![]() |
箸はいつごろ日本に伝えられたかは定かではなく様々な説があります。その中から
有力な説と言われている二つをご紹介します。
①3世紀に書かれた「魏志倭人伝(ぎしわじんでん)」では「倭人(わじん)は
手食する」と箸を使っていなかったような記載がありますが、同時期に書かれた 「日本書紀」や「古事記」では箸の記載があり、これを箸の起源とする説。 ②7世紀に入って小野妹子ら遣隋使(けんずいし)が中国から帰国した時にたくさん の中国文化を日本に持ち帰り、そのなかに中国の食法の箸食(はししょく)が あり、中国の食法といっしょに箸が日本に伝来したという説。 |
![]() |
どちらの説をとっても7世紀には中国から日本に箸が伝来していた
ことになります。その後、聖徳太子が日本で初めて新しい箸食制度 を朝廷の儀式で採用しました。これが公の場で箸を使用した最初の 儀式です。しかし、この時にはまだ一般市民の間には箸食が広まっ ておらず、一般市民に箸食が広まったのは8世紀になってからの ことでした。そして、8世紀の初めに、一般市民の間で箸食制度が 進められて手食から箸食へ一般市民の生活革命がおこったのです。
|
![]() ![]() |
日本人が一番よく使う道具、さらに食器の中で一番使うのがお箸です。古くから、
日本人の手先が器用なのは、お箸を使うからだと言われています。箸は2本の棒を
片手で操り、さまざまな機能をもたせる事のできる優れた道具(食器)です。
日本人は、箸を使うことによって、微妙な指の使い方・力加減を幼いころから習得
していたのです。箸使いが日本人にとって、すべての道具を器用に使いこなす基本に
なっているのかもしれませんね。
<箸の主な機能> | |
運ぶ | 食べ物をはさんで口に運ぶ |
はさむ | すべりやすいうどんなどの麺類をはさむ |
つまむ | 豆などの小さい物を箸先でつまみ上げる |
すくう | 柔らかい豆腐や茶わん蒸しなどは箸先をそろえ、力を加減して軽くはさむ
ようにすくい上げる |
まとめる | ご飯粒をまとめる |
切る | 豆腐など柔らかい物を箸先を使って切る |
割る | 煮たジャガイモを箸先で押さえるようにして割る |
押さえる | 凍り豆腐を軽く押さえ、汁気を切る |
はがす | 魚の皮の一端をつまみ、引くようにしてはがす |
混ぜる | 生卵を混ぜる |
![]() ![]() |
![]() |
食事中に不快な気持ちや不潔な感じを与えるような箸の使い方
を「嫌い箸」と呼び、無作法な行為とされています。無意識に 間違った使い方をしているかもしれません。お箸のマナーを確認 してみましょう! |
*ねぶり箸* 箸についたものを口でなめること。
|
*かみ箸* 箸の先をかむこと。
|
*刺し箸* 料理に箸をつきさして食べること。
|
*指し箸* 食事中に箸で人を指すこと。
|
*迷い箸* どの料理を食べようか迷い、料理の上であちこち箸を動かす。
|
*探り箸* 汁物の中を箸で探ったりして、自分の好きなものを探り出したりする。
|
*箸渡し* 箸と箸で食べ物の やりとりをする。 火葬の後で死者の骨 を拾うときに同じ動 作をするので縁起が 悪いとされている。
|
*なみだ箸* 箸の先から料理 の汁などをポタポ タ落とすこと。 箸でとった食べ物 から汁をポタポタ 落とすこと。 |
この他にも「嫌い箸」と呼ばれる使い方はいくつかあります。ぜひ箸のマナーを
覚えて、気持ちのいい食事をしましょう♪
国立大学法人大阪教育大学 食育情報WEB:箸(はし) より